慈雲山荻寺 光明院

【物件の概要】

光明院(こうみょういん)は、東京都杉並区上荻二丁目にある真言宗豊山派の寺院です。

創建は奈良時代以前と伝わっており、杉並区でも屈指の古刹と言われ、正式名称は慈雲山荻寺光明院といい、駅名にもなり当地付近の地名である荻窪(おぎくぼ)の由来になった寺と言われています。

荻(おぎ)で草堂を作って仏像を安置したのが寺院の始まりであると言われ、あたりが荻(おぎ)だらけだった寺院は荻寺と呼ばれ、それが荻窪の地名のルーツになったと言われています。

付近にある四面堂(現在の四面道)や堂前と言う地名も寺院に由来するとされています。

【設計コンセプト】

由緒ある寺院ではあるが、次期住職となる副住職は新しい感覚を持たれており、近年の檀家減少や地域と寺院との繋がりを感じられたり、若い世代にも興味を持ってもらえ足を運んでもらえるような雰囲気作りを大事にしてプランニングしました。周辺住民が寺の敷地の一角にある『荻の小径(こみち)』を通り、近くの荻窪駅へ歩く度に見え、電車からもよく見えるこの寺院を昼と夜で異なる雰囲気の顔を見せる事で、新しい交流を計れる場所にしたいと考えました。既存の中庭に据えられていた景石や手水鉢、石臼、灯籠などを可能な限りで再利用し、新しい素材と違和感なく馴染み、間接照明を用いて立体的に浮かび上がらせる事で印象的な雰囲気を造っています。

お通夜の際にはお年寄りも多く来られるので、緩やかなスロープや手摺りの設置、段差解消にも気配りをしながら、歩き易く見え易いアプローチを造りました。

 

『六・四・三』

真言宗では弘法大師にちなんだ数で思想的に重要な意味がある数字で「六大・四曼・三密」のいずれも“ありとあらゆること”を説くことが出来る数にも意味をもたせられるよう意識をしました。

真言宗豊山派の総本山である「奈良:長谷寺」はボタンが有名な寺院である為、既存のボタンを再移植し用いてあります。

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